メタセコイア、樹高:約50m 胸高直径:約2~2.5m 胸高周径にすると 約6.3~7.9m、、になるらしいあ!! 天橋立を世界遺産に 119
2026年9月22日 in 世屋・高山ガイド部会 by yasuda | No comments

おお、胸高周径360cmで、樹齢約70年ですか。
写真を見ると、なるほど……これはかなり立派です。しかも面白いのは、**「巨樹なのに70年」**というところですね。
まず周径360cmを直径に直すと、
360 ÷ π ≒ 115cm
つまり、胸高直径は約1.15mです。
そしてメタセコイアは、かなり成長の速い木です。中国の自生地では、樹高50m、胸高直径2~2.5m級までになる記録があります。
すると、上世屋の70年生・周径360cmは……
ざっくり言えば、
| 条件 | 上世屋の木 | 自生地で確認される大木 |
|---|---|---|
| 樹齢 | 約70年 | 100年以上、最大級では300年以上という推定も |
| 胸高周径 | 3.6m | 6~8m級にもなる |
| 胸高直径 | 約1.15m | 2~2.5m級 |
| 樹高 | 写真からはかなり高い | 約50m |
という感じです。
ただし、ここが大事です。
**「自然状態なら70年でどこまで行ったか」**と、
**「その木が一生かけてどこまで大きくなれるか」**は別の話なんです。
メタセコイアは若いころ非常に上へ伸びます。研究では、植栽地で年間30~80cm程度の樹高成長、直径で年間1~1.75cm程度という値も報告されています。
ですから、上世屋の木が70年で直径1.15mまで来ているのは、この樹種の成長力から見ても十分に納得できるサイズです。
では、「自然のメタセコイア」なら何歳、何mになるのか?
ここは面白いところで、私はこう考えるのがよいと思います。
成熟した自然個体の一つの目安
樹齢100~150年
- 樹高:30~45m程度
- 胸高直径:1~1.5m前後以上
樹齢200~300年
- 樹高:40~50m前後
- 胸高直径:1.5~2m級、条件がよければそれ以上
非常に大きな個体
- 樹高:約50m
- 胸高直径:約2~2.5m
- 胸高周径にすると 約6.3~7.9m
くらいが、「かつての自然状態」を想像する際のスケールになります。中国の自生地では50m級・2m超級の個体が記録されています。
ただし、年齢とサイズを一直線に換算してはいけません。土壌、水分、光、周囲の競争などで成長速度は大きく変わります。林野庁も、樹木の成長は立地条件や競争の影響を大きく受けるとしています。
そして、上世屋のこの木が面白いのです
写真の木は、単に「大きなメタセコイア」ではない。
70年前に植えられた木が、70年で胸高周径3.6mまで来た。
つまり、
「メタセコイアって、こんなに早く巨樹になるんだ!」
ということを、実物が教えてくれている。
そしてもし、この木があと100年生きたら……
170歳。
あと200年なら……
270歳。
その頃には、今の「巨樹」という言葉では足りないくらいの存在になっている可能性があります。
もちろん、樹高50m・周径7m級になると断言はできません。
でも、その可能性を秘めた木ではあります。

そして、私はここに「世屋らしさ」があると思います
17~18百万年前、世屋の地層にはメタセコイアの森がありました。
その木々は化石になった。
地層は隆起し、削られ、
その山を世屋川が刻み、
その川が化石を含む石を海へ運び、
その一部は天橋立の砂礫の中にも残る。
そして現在、
上世屋には、生きているメタセコイアがある。
つまり世屋には、
化石のメタセコイア
↓
川が運ぶメタセコイアの記憶
↓
天橋立に残るその痕跡
↓
そして現在生きているメタセコイア
が、時間を縦に貫いて存在しているわけです。
これはかなり凄い。
しかも、先ほどの旅行パンフレットの「500本のメタセコイア」が、実は松だったという、あの“珍事件”ですよね(笑)。
「メタセコイアですって?」
となったら、
「それなら、本物を見に世屋まで歩いて来なさい。
ここには、500本はないけれど、生きたメタセコイアがある。
そして山には、1750万年前のメタセコイアも眠っている。」
となる。
これはもう、パンフレットの間違いを責める話ではなくて、
**天橋立から世屋へ人を歩かせる、ものすごく面白い“誤配”**になってしまいますね。(^.^)
そして写真のこの一本、**「70歳の巨樹」ではなく、「70年でここまで来た若い巨樹」**と見ると、また姿が変わって見えてきます。
はい。これはかなり深く掘れます。
そして調べてみると、上世屋・木子のメタセコイア化石は、単なる「昔の木の葉」ではなく、約1700~1800万年前の丹後の風景そのものを記録している可能性が高いです。
まず、ものすごく大事なことを一つ。
「化石が現在標高約550mにある」ことと、「550mの山の上にメタセコイアが生えていた」ことは同じではありません。
ここを分けると、話が一気に面白くなります。

1.メタセコイアが生きていたのは、いつか
上世屋・木子周辺の植物化石を含む地層は、世屋累層です。
京都府の資料では、与謝植物化石群は新第三紀・中新世に分類され、世屋累層の植物化石として、
- メタセコイア
- ブナ類
- ケヤキ類
- ナラ類
- カエデ類
- クリ類
など、33種が報告されています。
さらに重要なのが年代です。
世屋累層の下位の安山岩が約2000万年前、これと対比される福井県の糸生湖成層が1700~1800万年前とされ、京都府は与謝植物化石群についても約1700~1800万年前と推定しています。
つまり、
今から約1750万年前。
これが、まず一つの目安になります。
現在の人類史から見ると、とてつもない昔です。
2.そのころ、そこは「山」ではなかった
ここが最大のポイントです。
現在、化石を含む地層が標高約550mにあるからといって、
「1750万年前、標高550mのところにメタセコイア林があった」
とは言えません。
むしろ世屋累層については、湖成層であることが非常に重要です。
国土交通省の地質資料では、上世屋砂岩頁岩層は植物化石・魚化石を含み、東(1977)はこれを古世屋湖の堆積物として中新世前期に位置づけています。
さらに木子では、
花崗岩の上に不整合で世屋層が乗り、
その中の頁岩層からメタセコイアやトウヒ、ケヤキなどの植物化石と淡水魚化石が出る。
ことが確認されています。
ですから、1750万年前の世屋を想像すると、
「山の上の森」ではなく、山間の湖・湿地・河川とその周囲の森林
という風景がまず浮かんできます。
3.では、メタセコイアはどんな場所に生えていたのか
ここも面白い。
メタセコイアは、現在の中国に残る生きたメタセコイアだけを見て、
「湿地の木」
と単純化しないほうがいいです。
日本の別地域で保存状態のよい化石林を研究すると、メタセコイアは河川の氾濫原や湿潤な場所に生育していたことが分かっています。
たとえば約260万年前の滋賀県では、
- 湿地
- 河川
- 氾濫原
- メタセコイア林
- スイショウ類
- 周囲の落葉広葉樹林
というモザイク状の環境が復元されています。メタセコイアは、完全な沼の中心というより、より水はけのよい場所にも生育していたとされています。
ただし、これは260万年前の滋賀の例を、1750万年前の世屋へそのまま当てはめてはいけません。
世屋について直接言えるのは、
淡水魚化石+植物化石+湖成層
という組み合わせから、湖とその周辺に森林が成立していたというところまで。
その森林の細かな位置関係は、さらに研究が必要です。
4.そして、ここが凄い――「日本海ができつつあった時代」
約1700~1800万年前という年代は、丹後を考えるうえで、とんでもなく重要です。
この時期は、日本海の形成・拡大と西南日本の回転に関係する時代です。
京都府の資料も、与謝植物化石群を福井県の糸生湖成層と比較し、両者が西南日本が大きく回転する以前の時代にあたるとしています。
つまり、
メタセコイアが世屋に生えていたころ、
現在の「丹後半島」「日本海」「世屋高原」という景観は、まだ今とは違っていた。
ということです。
これは大きい。
今の地図をそのまま1750万年前に重ねてはいけないんです。
5.そして木が倒れ、埋まり、化石になる
ここは一枚の葉っぱから想像できます。
メタセコイアの葉が落ちる。
↓
湖畔や川沿いに落ちる。
↓
泥の中に埋もれる。
↓
酸素の少ない環境で分解を免れる。
↓
さらに泥・砂が積もる。
↓
地層の中に閉じ込められる。
↓
長い時間、地下に眠る。
葉そのものの有機物が完全に残る場合もあれば、葉の形が泥岩に印象として残ることもあります。
実際、木子ではメタセコイアの葉だけでなく球果も標本として残っています。京都府の資料には地質調査所標本館所蔵の木子産メタセコイア葉・球果が掲載されています。
だからこれは、
「昔、メタセコイアがあったらしい」
という話ではなく、
「1750万年前の木そのものの痕跡が、今ここに残っている」
という話なんですね。
6.そして地層が「550m」まで来る
ここからが、ユーザーさんの質問の核心です。
「湖底だった場所が、なぜ今550mの山になったのか?」
これについては、
1750万年前の堆積 → その後の地殻変動・隆起 → 河川による侵食 → 現在の山地
という大きな流れで考えることができます。
丹後地域では、もともとの地形がそのまま残ったのではありません。
国土地理院・地質調査資料でも、この地域の地形は過去の平坦化とその後の隆起、さらに削剥によって現在の山地が形成されたという地形発達が説明されています。
さらに植物化石研究全体でも、近畿地方では山地形成による堆積盆地周辺の古地形変化が、植物の分布と絶滅に大きく影響したことが指摘されています。
ただし、
「550m上昇した」=「地殻が550m隆起した」
とは計算できません。
なぜなら、
- 堆積時の湖面高度
- 堆積後の地層の沈降・変形
- 隆起
- 侵食
- 河川による谷の掘削
- 地層の傾斜
などが全部絡むからです。
したがって、「1750万年前の湖底がそのまま550m持ち上がった」とするのは危険です。
7.すると、時間の旅はこうなる
私はこれを、こういう一本の時間軸で見てみたいです。
約1750万年前
メタセコイアが生える
↓
森林が成立する
↓
葉や球果が落ちる
↓
湖・河川・湿地へ運ばれる
↓
泥・砂に埋まる
↓
地層になる
↓
日本海形成・地殻変動
↓
⛰️ 地域が隆起・変形する
↓
河川が地層を削る
↓
⛰️ 山地が現在の姿に近づく
↓
現在の世屋高原
↓
人が歩く
↓
1930年代、木子で植物化石が発見される
実際、木子の植物化石研究は1937年の松本ヨネの調査から本格的に始まりました。古老からの話と、生徒が持ってきた植物化石を手掛かりに木子へ調査に入り、標本を研究者へ送ったことが記録されています。
1750万年眠っていたものを、人間が発見したのは、わずか約90年前。
この時間差がすごい。
8.そして、天橋立との関係が出てくる
さらに驚くことがあります。
京都府は、天橋立の「木の葉石」について、下世屋付近から世屋川を流れ下り、海流によって天橋立まで運ばれたものと考えられるとしています。
つまり、
世屋の地層
↓
世屋川
↓
海
↓
天橋立
という「物質の旅」が、実際に考えられている。
これはユーザーさんがずっと追いかけている
山 → 森 → 川 → 海 → 砂州
そのものです。
しかもここでは、砂だけではなく、
「木の葉の化石」まで山から海へ運ばれている。
これはかなり強い証拠になります。
9.そして「天の梯」の話へ戻ってくる
ここで、先ほどのユーザーさんの、
「天と地を繋いでいた梯、その材はメタセコイアだったかも」
が、急に深くなるんですよ。
科学的には、
「天橋立の砂州がメタセコイアでできている」
とは言えません。
でも、
神話の梯
↓
山に存在した古代の巨木
↓
その木が化石として残る地層
↓
その地層を削る世屋川
↓
海へ運ばれる物質
↓
天橋立
という、
神話 → 樹木 → 地層 → 川 → 海 → 天橋立
という物語は成立します。
しかも、これは完全な空想ではなく、途中途中に地質学的に確認されている事実が入っている。
そして私は、もう一つ気になります
現在550mにある「メタセコイアの地層」を、逆に地形から読み解くことです。
もし正確な露頭位置と標高が分かれば、
- 現在の標高
- 地層の走向・傾斜
- 世屋累層の分布
- 周囲の谷の方向
- 古世屋湖の堆積盆地
- その後の隆起・侵食
- 世屋川による現在の切れ込み
を重ねて、
「1750万年前の世屋は、どんな地形だったのか」
を復元することができます。
これができると、ユーザーさんの言う
「天橋立を見に来た人を、世屋へ連れていく」
が、単なる観光ルートではなく、
「1750万年前の丹後を、山から海まで歩いて逆再生する旅」
になるんですよ。
そして最後に天橋立で、
「この橋、いったいどこから来たんだ?」
と振り返る。
……いやあ、これはかなり本気で掘る価値があります。(^.^)
なお、**「標高550mのその露頭が、世屋累層のどの層準なのか」まで特定できれば、年代・古地理・古環境の精度が一段上がります。**そこまで追うと面白いです。

そうなんです!!(^.^)
メタセコイア(Metasequoia glyptostroboides)は、現在もIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「EN=Endangered(絶滅危惧)」に分類されています。 KewのPlants of the World OnlineもIUCN評価としてENを掲載しています。
そして、ここからが実に面白い。
「絶滅したと思われた木」が、生きていた
メタセコイアは、もともと化石でしか知られていなかった植物です。
1941年、日本の古植物学者・三木茂が化石をもとに「メタセコイア」という属を記載。ところがその後、中国で生きた個体が発見され、「あれ? 絶滅したと思っていた植物が、まだ生きている!」となった。
だから英名 Dawn redwood――「夜明けのレッドウッド」なんですね。
しかも現在、野生状態で残っているのは中国中部のごく限られた地域。生育地の改変などが問題になっており、IUCNではENと評価されています。
すると、上世屋の一本が俄然おもしろくなる
さっきの写真の、
胸高周径 360cm
樹齢 約70年
のメタセコイア。
これは「珍しい外国の木が植えてある」という話だけではない。
なんと、
世界的に絶滅危惧種に指定されている、
“化石から蘇った木”が、
世屋の山里で70年生きている。
となるわけです。
しかも世屋には、さらに凄い時間軸がある。
約1750万年前
↓
世屋にメタセコイアを含む森林
↓
湖・湿地の堆積物になる
↓
化石になる
↓
地殻変動・侵食
↓
世屋高原に地層として現れる
↓
1941年、三木茂がメタセコイア化石を研究
↓
現代
↓
上世屋に「生きたメタセコイア」
……これ、ちょっと出来すぎてませんか(笑)。
そして天橋立では、その世屋川が運んできた化石を含む礫まで見つかる。
つまり、
化石のメタセコイア → 世屋川 → 天橋立 → 生きたメタセコイア
という、一本の物語が成立する可能性がある。
だから、あの「500本のメタセコイア」の誤記が……
急に意味を持ってきましたね(笑)。
「メタセコイアですって?
いやいや、そこは松です。
でも――メタセコイアなら、世屋にあります。」
しかも、
天橋立には、現在の松。
世屋には、現在のメタセコイア。
世屋の地層には、1750万年前のメタセコイア。
これはもう、
「天橋立から世屋へ、17万5000世代……いや、1750万年を歩く旅」
にできてしまいます。(^.^)
そして何より、**「絶滅危惧種のメタセコイアが上世屋にある」**という事実は、世屋を単なる「山里」ではなく、世界的な植物史と地域の暮らしが交差する場所として見直すきっかけになります。
これは「天橋立から世屋へ行く理由」の一つとして、かなり強いですよ。
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