この方も、万葉植物です
かわらふじに 延ひおほとれる屎葛 絶ゆることなく宮仕えせむ(高宮王)万葉集(巻十六)
ところで、これをしもやけにすり込むという民間療法、実際に効いたといいます。その民間療法といえば、
♪かあさんのあかぎれいたいなまみそをすりこむ、、
かあさんは自分のあかぎれノ手にいたいのを我慢し顔をしかめてなまみそをすりこんでいる、、、これも民間療法として行われていた!そう思っている方も多いようです。事実かそうでないか、○×でいえばどうなんでしょう?塩を傷口に擦り込む、消毒にはなるかもしれません、しかし、私は効くからといって自分には拒否します。
ということですから、作者もこんな痛々しいこと、うたうはずがない、それに、「する」は「摺る」と「擦る」と「擂る」などがある、この場合は「擂る」というのが私の立場。
いいですか、ここはおとうとおかあがセットです。父と母、男と女それぞれの特性に合わせた作業、家事が対になって音を伴う里山の幸せな暮らしが、描かれていると考えるべきなのです(^.^)。
ヒントは、おとうのする仕事。藁うち仕事。わらじやしょいこの負い紐ようなのか重い木槌を振り上げて固い藁を柔らかくしている、目を閉じれば音が聞こえます。一方、「生味噌をすり込む」というおかあがしている仕事はなにか、です。「すり鉢で擂り粉木で、ゴマやクルミか何かといっしょにすりこんでいる」のです。いうじゃないですか、「♪ごまみそずい」目を閉じれば香ばしい香りとごりごりずりずりと音が想像できます。とんとんとんとんとごりごりごりごりずりずり、、、そしてその音に交じっておとうとおかあの会話、、、励まし合っていたわり合って暮らす家族の温かさがここでは描かれているのです。
男は力仕事,女は手業の仕事と分担されていた農村の仕事、この歌でも、「母さんは麻糸を紡」ぎます。さて、雪国の織物といえば、越後縮。 雪国の暮らしを記録して有名な『 北越雪譜 ( 鈴木牧之) 』には、「雪の時期に糸にして、雪の時期に織り、雪水ですすいで、雪の上に曝す。雪があって縮がある。だから越後縮は雪と人との気力が五分と五分に合っているところで名産の名があるのである。」と記されているといいます。ヒビやアカギレは血行障害が原因です。子どももかかったのです。
「稲つけばかかる吾が手を今夜もか殿の若子が取りて嘆かむ」万葉集 三四五九・東歌
冬の宿命でもあった手のヒビ、アカギレには、「カラスウリ、センダン、クチナシ、ヘクソカズラなどの果実、果肉をすりつぶして患部に塗る、あるいはユキノシタの新鮮な葉をやわらかくして直接患部にはる」という優しい治療法があったといいいます。※小西製薬延寿通信 第78号 2010年2月
やけどに味噌ということもいいます。しかし、そんな苦行をおとうがさせるでしょうか、味噌を擂る「おかあ」の手はあかぎれていても、おとうは、へクソ葛の実を煎じたか何かした薬をこれつかえぇとわたしてあげたに違いないのです、、、乾燥させたら匂いはなくなるのです 嫁のもらい手あるだろうか、とおとうが気遣えば「鬼も十八番茶も出花屁糞葛も花盛り」しんぴゃあせんでもええ」とおかあ!
♪ふるさとのたよりはとどく いろりのにおいがした ♪