詩誌『驢馬 (ろば) 』 (1926)に発表された中野重治さんの詩 「歌」。
「おまえは歌うな おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな 風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな すべてのひよわなもの すべてのうそうそとしたもの すべての物憂げなものを撥き去れ すべての風情を擯斥せよ もっぱら正直のところを 腹の足しになるところを 胸元を突き上げて来るぎりぎりのところを歌え たたかれることによって弾(は)ねかえる歌を 恥辱の底から勇気をくみ来る歌を それらの歌々を 咽喉をふくらまして厳しい韻律に歌い上げよ それらの歌々を 行く行く人々の胸郭にたたきこめ」
歌うという行為と「撮る」という行為は同じという意味では、この詩は厳しいけれど、胸にしまっておかなければならない詩の一つだと思っています。! さて、この詩の中で「歌うな!」と「ひ弱な風情」を持つ野の花を代表してやり玉に挙げられた「赤ままの花」標準和名「イヌタデ」。
撮ってしまいました(´・ω・`)
ひ弱だ!風情が物憂げだ、中野さんの印象として尊重しますけれど、私はそうは思いません。赤まま、、、、子どもがままごとで使った名前ととりあえず流布しています。しかし、飢饉の年にも咲くこの花、赤ままだと想像力で腹の虫を黙らせて生き抜いたかもしれないじゃないですか。一本一本はひ弱でも、群生するとなかなかどうして、秋晴れの空の蒼にも負けない赤、明るくたのしそうで、ひたむきに走り回るサッカー少女のようじゃないですか。
私は、撮りますよ(^.^)