天橋立を理解するために、天橋立を生んだ山へ帰っていく。 天の橋立を世界遺産に 92
2026年9月13日 in 世屋・高山ガイド部会 by yasuda | No comments

はい。これは私は、**「丹後縦貫林道成相線を、単なる林道・展望道路から“地球の物語を読むための観察回廊”へ格上げする」**という発想だと思います。しかも、今回の話はこれまでの安田さんの「砂供給ルート」の考え方と、非常にきれいにつながっています。
京都府も、天橋立の形成について、世屋川をはじめ丹後半島東岸の河川から流出した砂礫が沿岸流で運ばれ、野田川からの流れとの関係で堆積し、約4,000年前に天橋立が海面に現れたという説明をしています。また、現在の天橋立は砂の供給・移動バランスが崩れると侵食するため、実際にサンドバイパスによって砂を補給する管理も行われています。
つまり、
山から出た砂礫 → 川 → 海 → 沿岸流 → 天橋立
という「システム」は、単なる説明上のモデルではなく、現在の保全にも関係しているわけです。
そこで成相線が面白い
丹後縦貫林道は、京都府によれば丹後半島を南北に縦断する全長約50kmの林道網で、その一部が成相線です。沿線には展望地点も設けられています。
普通の観光客なら、
「わあ、天橋立が見える!」
で終わります。
ところが、安田さんの見方では違う。
その展望地点から見えているもの全部が、一つの地球システムなんです。
「見る人」の立っている場所が重要なんです
林道成相線を、
標高約500mの山の斜面
に置いてみる。
その足元には、
ブナ・トチ・サワグルミ・イタヤカエデ・ミズキなどの森林
がある。
そこから下へ、
風化 → 土壌 → 流出 → 河川 → 野田川・阿蘇海 → 沿岸流
と物質が移動する。
そして視線の先には、
阿蘇海 → 天橋立 → 宮津湾 → 栗田半島 → 舞鶴 → 若狭湾
が広がる。
つまり林道に立った人は、
「砂の供給システムを、起点から終点まで一望している」
ことになる。
これは普通の「絶景展望台」とは、全然意味が違います。

私なら「丹後地球史の展望回廊」と呼びたい
もちろん正式名称ではなく、世界遺産的な価値を説明するための概念名です。
成相線の価値は、
「天橋立がきれいに見える道」
ではなく、
「天橋立をつくった大地のプロセスを、実際の地形の上から読み解ける道」
にある。
ここが決定的に違います。

さらに重要なのは「起点・経路・結果」が同時に見えること
これ、安田さんの言葉をそのまま発展させると、
起点
丹後半島の山地・森林
↓
経路
斜面・谷・河川・野田川・阿蘇海
↓
結果
天橋立という巨大な砂嘴
です。
しかも成相線からは、それを同時に視野に入れることができる。
これは世界遺産的には非常に重要な特徴です。
なぜなら「価値」を説明するために、別々の場所をバスで移動して説明しなければならないのではなく、
一つの場所から、システム全体を読み解くことができる
からです。
そして「森」が入ることで、話が一段深くなる
ここが私は特に大事だと思います。
「山から砂が出る」とだけ言うと、
山=砂の採掘場
みたいな誤解を生みます。
実際には、
森
が重要です。
森が雨を受け止める。
土壌をつくる。
水を蓄える。
斜面の物質循環を支える。
そして長い時間の風化・侵食によって岩石が細粒化し、河川へ運ばれていく。
だから、
「天橋立は海だけがつくったのではない。山の森から始まる物質循環の最終的な姿である」
という説明ができます。
これはかなり強い。
そして、現在の林道そのものにも別の意味が生まれる
ここが「世界遺産目線」で面白いところです。
丹後縦貫林道はもともと、丹後半島の農林業振興や地域産業活性化のために整備された道です。京都府も、森林資源の活用や森林整備、地域の生活道路としての役割などを説明しています。
つまり、
自然
だけではなく、
人間が山を利用してきた歴史
も、この道に重なっています。
だから成相線そのものを、
山を利用する人間の道であり、同時に山と海のつながりを観察する道
と位置づけられる。
これは「自然遺産」と「文化遺産」の境界を越える話になります。

そして、ここで「天橋立学」が生きてくる
林道から天橋立を見る。
普通なら、
「絶景!」
です。
しかし「天橋立学」なら、
「この砂はどこから来た?」
と問う。
次に、
「その砂を運んだ川はどこ?」
さらに、
「その川に水を供給している森はどこ?」
さらに、
「その山をつくっている岩石は何?」
そして、
「その山と海の間で、人間は何をしてきた?」
と問いが連鎖する。
すると、一枚の風景が、
地質学 → 森林生態学 → 水文学 → 河川地形学 → 海岸地形学 → 人類史
へ開いていく。
これこそ、安田さんが以前言われた
「この景色の中に、地球の物語がある。」
の実践版ではないでしょうか。
そして世界遺産のストーリーとしては、かなり強い
私はこう整理します。
成相線は、天橋立を「結果」だけでなく「生成するシステム」として見るための視点場である。
これです。
天橋立だけを見ると、
「美しい砂州」
です。
成相線から見ると、
「山・森・川・海・沿岸流が数千年にわたって共同してつくった砂州」
になる。
そしてさらに人間の歴史を重ねると、
「その大地を人間が見つめ、神話を生み、信仰し、絵に描き、文学にし、道をつくり、今また未来へ残そうとしている景観」
になる。
ここまで来ると、単なる「絶景観光」ではありません。
だから私は、成相線を「あいせよロード」の中でもかなり重要な場所に置きたいです。
世屋の山
→ 砂の供給
成相線
→ その全体像を見る
阿蘇海
→ 砂が集まる場所
天橋立
→ 結果として現れた地形
そして、その向こうに
宮津・伊根・与謝野・浦島
という「人間が意味を与えた世界」が続いていく。
つまり成相線は、
「自然の物語」から「人間の物語」へ切り替わる場所
にもできるんです。
これは「あいせよ天橋立丹後浦島ロード」の**展望台ではなく、“読解装置”**として位置づけたら面白いと思います。
「ここから天橋立を見る」のではなく、
「ここから、天橋立が生まれてきた過程を見る」。
――この違いは、世界遺産を語る上でかなり大きいと思います。

はい。今回の整理で、私はこのコースの意味が一段上がったと思います。
これまで「成相線=砂供給システムを上から見る展望道路」と考えていましたが、今回の
天橋立を起点にして、周回しながら砂の旅を逆にたどる
という発想にすると、成相線は単なる展望道路ではなく、**「天橋立という結果から、その誕生の原因をたどる体験型の地球史ルート」**になります。
京都府の説明でも、天橋立は世屋川など丹後半島東岸の河川から出た砂礫が沿岸流で南下し、野田川から阿蘇海へ入る流れとの関係で堆積したものとされています。
1.これは「天橋立を見る旅」ではなく「天橋立を遡る旅」
普通の観光ルートは、
宮津 → 天橋立を見る → 天橋立を歩く
です。
ところが、このルートでは逆に、
天橋立
↓
「この砂はどこから来た?」
↓
日置・世屋川河口
↓
「では、この川はどこから来た?」
↓
世屋川を遡る
↓
上世屋・世屋高原
↓
「この砂礫を生み出している山地はどこか?」
↓
丹後縦貫林道成相線
↓
山腹から再び
野田川・阿蘇海・天橋立
を眺める。
となる。
つまり、
結果から原因へ、海から山へ、砂から岩へ遡っていく旅
なんです。
これは世界遺産の「価値を体験するルート」として、かなり面白い構造です。
2.しかも「逆向き」に行くところがいい
ここが意外に重要です。
川の流れは、
山 → 谷 → 海
です。
しかし人間は、
海 → 谷 → 山
へ歩いていく。
つまり旅人自身が、砂の旅を逆再生するわけです。
天橋立に立って、
「この砂は、いったいどこから来たのだろう?」
という問いを持つ。
そして世屋川を遡り、上世屋へ行く。
そこで初めて、
「ああ、ここから始まっていたのか」
と気づく。
これは非常に教育的です。
しかも「教育」といっても、教科書を読むのではない。
自分の身体で地形を逆にたどる。
だから「天橋立学」のフィールドワークになります。
3.そして上世屋が「起点」になる
ここも重要です。
京都府は上世屋について、地すべりによる移動堆積地形の上に集落が成立し、周囲には落葉広葉樹林が広がり、棚田と集落が森林と一体となった農村景観を形成していると説明しています。さらに世屋高原地区は丹後天橋立大江山国定公園の一部です。
つまり上世屋に着いたとき、旅人が見るのは単なる「山奥」ではありません。
そこには、
地質
+
森林
+
水
+
農業
+
集落
という、山地の総合的な景観があります。
だから、
「天橋立の砂は、自然の砂工場から突然出てきたのではない。森と土壌と斜面と川が組み合わさった山のシステムから始まっている」
と理解できる。
4.さらに成相線に乗ることで「全体」が見える
ここが、このルートのハイライトでしょう。
上世屋から成相線をたどる。
すると、
世屋川
だけを見るのではなく、
野田川
阿蘇海
天橋立
宮津湾
栗田半島
さらに遠く
舞鶴・若狭湾
まで視野に入ってくる。
つまり、
「一つの川を遡った結果、丹後半島の大きな地形システム全体が見えてくる」
わけです。
これがすごくいい。

5.世界遺産目線では「OUV」を体験するルートになり得る
世界遺産では、最終的には「何がそんなに普遍的に重要なのか」という**顕著な普遍的価値(OUV)**を説明する必要があります。
このルートの価値は、OUVそのものというより、
その価値を人間が理解できるようにする「読み解きの装置」
として考えるといいと思います。
たとえばテーマを、
「山と川と海の物質循環が、一つの文化的景観を生み出した」
とする。
すると旅人は、
天橋立
「結果」
↓
日置・世屋川河口
「砂の出口」
↓
世屋川
「運搬経路」
↓
上世屋
「山地の起点」
↓
成相線
「システム全体を俯瞰する場所」
という順に理解できます。
これは非常にきれいです。
6.そして、ここで「自然遺産」と「文化遺産」が融合する
ここが世界遺産として特に重要です。
世屋高原は、単なる自然林ではありません。
人間が山を利用し、
森林
→
炭焼き・薪・農業
→
棚田
→
集落
という生活文化を形成してきた場所です。
一方、その山地から流れ出た水と土砂が、
川
→
海
→
天橋立
を形成する。
つまり、
人間が暮らしてきた山と、世界的景観として知られる天橋立が、同じ一つの流域システムの中にある。
これが重要です。

京都府の地質資料でも、丹後の海岸では中小河川から流出した土砂が沿岸流で運ばれ、各所の砂浜をつくり、世屋川・畑川は海岸に扇状地性三角州を形成し、沿岸流で運ばれた砂礫が天橋立を形成したと整理されています。
7.しかも現在の天橋立保全まで、この旅の中に入る
これは世界遺産ストーリーとして非常に強いポイントです。
天橋立は「昔できて、それで終わった地形」ではありません。
現在も砂の収支が問題になっています。
京都府は、世屋川などからの土砂供給の減少や防波堤による沿岸漂砂の遮断などによって侵食が進み、現在はサンドバイパスによって砂を人工的に移動させ、天橋立を維持していると説明しています。
つまり旅の最後に、
「この砂の旅は、今も続いている」
というところまで持っていける。
これはものすごく重要です。
8.「過去の世界遺産」ではなく「現在進行形の世界遺産」になる
ここが、このルートの一番大きな可能性かもしれません。
旅人は、
① 山で砂が生まれる
↓
② 川が運ぶ
↓
③ 海が運ぶ
↓
④ 天橋立になる
という過去の物語を見る。
しかし同時に、
⑤ 人間がその流れを変えてしまった
↓
⑥ 天橋立が侵食する
↓
⑦ 人間が再び砂を戻している
という現代の物語を見る。
すると、
「人間は自然を利用するだけの存在ではなく、自然の循環を変えてしまう存在でもあり、それを理解して再び共生しようとしている」
という、現代の人類共通の課題にまで届きます。
これはまさに「世界遺産から未来へ」という話になります。
9.そして私は、このルートを「砂の旅」と呼ぶのが非常にいいと思います
たとえば仮に、
天橋立・砂の旅
― 山から海へ、海から山へ ―
とする。
旅の構造は、
天橋立
「砂の終着点」
↓
日置
「海への出口」
↓
世屋川
「砂の道」
↓
上世屋・世屋高原
「砂のふるさと」
↓
成相線
「砂の旅を俯瞰する道」
↓
再び天橋立
「砂がつくった世界」
です。
これは「観光ルート」より、むしろ、
地球の物質循環を身体で体験するフィールドミュージアム
と呼びたくなります。
そして、ここで「あいせよ」が生きてくる
安田さんの構想では、
世屋=砂供給ルート
でしたよね。
今回の話によって、それが単なる一地点ではなくなります。
世屋とは、天橋立の“裏側”ではない。
天橋立を理解するための“起点”である。
さらに言えば、
天橋立から世屋へ行くことは、天橋立を離れることではない。
天橋立を生んだ大地へ帰っていくことだ。
私は、この一文はかなり大切だと思います。
そして成相線は、その途中にある**「地球の物語を一望できる展望回廊」**。
上世屋は**「砂のふるさと」**。
世屋川は**「砂の道」**。
日置は**「砂が海へ出る場所」**。
天橋立は**「砂の旅が景観になった場所」**。
――こう整理すると、「あいせよ天橋立丹後浦島ロード」の中に、「砂の旅」という一本の強い背骨が入ります。
そしてこれは、単に天橋立を「見る」のではなく、天橋立がどこから来て、今どう生きているのかを歩いて理解するという、かなり世界遺産的な体験になると思います。

はい、これはかなり大きい追加だと思います。
むしろ今のお話を入れると、このコースの価値が一段上がります。
これまで私たちは、
世屋高原 → 世屋川 → 日置 → 宮津湾 → 沿岸流 → 天橋立
という「砂の旅」を見ていました。
ところが五十河側を加えると、単純な一本の川の物語ではなくなります。
「二つの川に挟まれた、天橋立を生んだ山域」
という構造が見えてきます。
東側には、世屋川。
そして西側には、五十河から下って阿蘇海へ向かう男山川。
つまり成相線の起点付近では、旅人は一つの谷だけを遡るのではなく、
「山から二つの方向へ水が流れ、それぞれが阿蘇海・宮津湾という海へつながっている」
という地形そのものを体験できるわけですね。
これは世界遺産的に見ると、かなり面白い。
① 「砂」だけでなく「水の分水嶺」を体験できる
天橋立を説明するとき、
山 → 川 → 海 → 砂 → 天橋立
という一方向の物語になりがちです。
しかしこのコースでは、
東西に異なる水系が走っている山地を歩くことで、
「大地が水を分け、川が大地を海へ運ぶ」
というところまで見えてくる。
これは「天橋立という一点」を説明するのではなく、
天橋立を生み出した流域そのものを読む
ことになります。
そして、ここが非常に重要です。
天橋立だけを見ていると、砂州は「そこにある美しいもの」です。
しかし山へ入ると、
「この砂は、どこから来たのだろう?」
という問いが生まれる。
さらに二つの川を見ると、
「この山の雨水は、どこへ向かっているのだろう?」
となる。
つまり景観を見ることが、地球の仕組みを読むことに変わるんですね。
② 「蛇谷」「駒返しの滝」が入ると、地形が「物語」になる
ここも非常にいいです。
「蛇谷」という地名は、名前だけでもガイドの入口になります。
ただし、なぜ蛇谷と呼ばれるのかは、古地図・地誌・伝承などで裏付けを取ってから語るのがよいでしょう。
もし由来が確認できれば、
地名 → 地形 → 伝承 → 人間の記憶
という別の時間軸が加わります。
そして、
源頼光・駒返しの滝
がある。
これが面白い。
地質学的には「谷を流れる水」。
生態学的には「森林と渓流」。
歴史・伝承の世界では「源頼光」。
つまり同じ谷に、
地球の時間
↓
水の時間
↓
森の時間
↓
人間の歴史
↓
伝説
が重なってくる。
これこそ、これまでお話ししてきた「天橋立学」の面白さだと思います。
③ そして「水道水源」が入るのが、実はものすごく重要
ここ、私はかなり重要視したいです。
男山川が単なる「景色のいい川」ではなく、岩滝町の水道水源につながっているということ。
すると、このコースは過去の地質や伝説を見せるだけではなく、
現在、人間がこの山をどう使い、どう守っているのか
まで見せられます。
つまり、
山 → 水 → 人間の暮らし → 海 → 天橋立
です。
これによって世界遺産的なストーリーが「過去の物語」で終わらない。
むしろ、
この山を守ることは、川を守ることであり、
水を守ることであり、
海を守ることであり、
やがて天橋立を守ることでもある。
という現在の意味にまでつながります。
これは、以前お話しした「天橋立憲章を、象徴から実践へ」という構想ともぴったり重なります。
そして、私はこのコースを「輪」として捉えたいです
今までの「砂の旅」は線でした。
山 → 川 → 海 → 天橋立
でも、今回のお話を入れると、
天橋立を中心に山域をぐるっと回り、
二つの川を読み、
最後に再び天橋立へ戻ってくる。
これはもう、
「天橋立を起点とする地球のフィールドミュージアム」
と言ってもいいくらいです。
例えば、
天橋立
↓
「この砂はどこから来た?」
日置・世屋川
↓
「山から砂礫が運ばれてきた」
上世屋・世屋高原
↓
「その水と土のふるさとを見る」
成相線
↓
「今度は高所から流域全体を俯瞰する」
五十河
↓
「別の谷・男山川を見る」
蛇谷
↓
「地名と廃村から人間の記憶を読む」
駒返しの滝
↓
「伝説と歴史が重なる」
男山川
↓
「その水が現在の人間の暮らしを支える」
そして、
阿蘇海・天橋立へ帰ってくる。
すると、非常に美しい対比ができます。
世屋川 → 宮津湾 → 天橋立
と、
男山川 → 阿蘇海 → 天橋立
です。
もちろん、ここは「両河川が同じように天橋立の砂を直接供給する」と単純化してはいけません。
そこは科学的にきちんと整理する必要があります。
しかし、同じ山域の水が異なる水系を通って二つの海域へ向かうという「流域・地形を体験する構造」は、非常に強い。
そして最後に二つの海が、
阿蘇海と宮津湾
という天橋立を挟む二つの水域として現れる。
これ、まさに「橋」なんですよね。
私なら、このコースの核心をこう表現します
天橋立を歩くのではなく、
天橋立を生んだ大地を一周する。
さらに一歩進めるなら、
二つの川をたどり、二つの海を眺め、
山から流れ出した水と土が、
やがて天橋立という「橋」をつくるまでの物語を体験する。
そして世界遺産的な言葉にするなら、
天橋立は単独の景観ではない。
山に降った雨、森が育む土、水が刻む谷、川が運ぶ土砂、海がそれを再配置する営み、そしてその大地に暮らしてきた人々の記憶。
そのすべてが重なって、今日の天橋立を形づくっている。
これはかなり強いですよ。
なぜなら、以前の「天橋立=砂の結果」という理解から、
「天橋立=山・水・海・人間の関係そのもの」
へ、一段上がるからです。
そしてこの視点なら、蛇谷、廃村、駒返しの滝、水道水源も「観光スポットの寄せ集め」ではなく、全部が一つの大きな物語の中に配置できます。
ひょっとすると、今探していた「残り20%」は、天橋立と世屋を結ぶ砂の供給線だけではなく、その周囲にある「水の環」だったのかもしれませんね。
ああ、なるほど!
そこで「マルヤ農林園」と「岡の前棚田跡交園」が入るのですね。
そうなると、このコースはますます「地質・水系・生態系」だけではなく、人間が大地とどう付き合ってきたかまで一本につながります。
特に「自然共生サイト」という位置づけが効いてきます。
つまり、この周回コースは……
天橋立
→ 砂がつくられた「結果」
世屋川・男山川
→ 山と海をつなぐ「水の道」
世屋高原・五十河
→ 水と土を生み出す「山の世界」
蛇谷・廃村
→ 山とともに暮らした「人の記憶」
マルヤ農林園
→ 現代における「自然との共生」
岡の前棚田跡交園
→ 人間が地形を耕し、里山をつくってきた「文化的景観」
そして、
成相線
→ それら全部を一望して「関係」を理解する視点場。
最後に、
天橋立へ帰る。
これ、かなり完成度が高いです。
そして「自然共生サイト」が入ることで、時間軸が完成します
ここが世界遺産目線では、とても重要だと思います。
普通なら、
「昔、こんな自然がありました」
で終わってしまいます。
ところがこのルートでは、
地質時代
→ 山ができる
→ 川が谷を刻む
→ 土砂が海へ出る
→ 天橋立ができる
→ 人が山に住む
→ 棚田をつくる
→ 水を利用する
→ 廃村になる
→ それでも自然と人間の関係が続く
→ 現代の自然共生サイトとして再び関係を結び直す
となる。
つまり、
「自然遺産」から「文化的景観」へ、そして「未来」へ
という時間軸ができるんです。
これは宗田先生が言っていた「地域の歴史を人類史の中に位置づけ、未来を開く」という「天橋立学」の方向とも、ものすごく相性がいい。
そして、私は「岡の前棚田跡交園」という名前にも惹かれます。
もしこの「交園」が意図された名称なら、まさにこのルートの思想そのものですよね。
自然と人間が交わる。
過去と現在が交わる。
山と海が交わる。
東と西の川が交わる。
地質と文化が交わる。
そして最後に、
その全部が天橋立で交わる。
そう考えると、天橋立は単なる「砂の橋」ではなく、
山と海、人と自然、過去と未来を結ぶ「関係の橋」
になってくる。
これは、以前から話していた
「この景色の中に、地球の物語がある。」
を、実際に歩いて体験できるルートになりそうです。
そして面白いのは、天橋立を起点にして出発するのに、実際には天橋立からどんどん遠ざかっているのではないこと。
天橋立を理解するために、天橋立を生んだ山へ帰っていく。
この一文、かなりこのコースの「核」になりそうです。
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