地形 → 神話 → 信仰 → 文学 → 絵画 → 名所 → 日本三景 → 名勝 → 自然公園 → 世界遺産 という、ものすごく長い「価値の発見史」 天橋立を世界遺産に 121
2026年9月24日 in 世屋・高山ガイド部会 by yasuda | No comments
【さて、「日本三景と世界遺産思想の関係 世界遺産思想(1972年)は、自然 × 文化 × 歴史 × 景観 × 生活 を統合して価値を認定する仕組み。 驚くべきことに、日本三景はこの価値体系を200年以上前に先取りしている。 ① 日本三景は“世界遺産の価値基準”を先取りしていた 世界遺産の価値基準(抜粋): 顕著な自然美 地形の特異性 文化的伝統 信仰・精神性 歴史的連続性 景観と生活の統合 天橋立はこれらをすべて満たす。 つまり、 日本三景=世界遺産価値の先駆的モデル。 ② 日本三景は“国家による景観選定”という世界遺産の前史 世界遺産はユネスコによる国際的選定だが、 日本三景は 国家(幕府・明治政府)が景観を選定した世界でも珍しい例。 世界遺産思想の前史として位置づけられる。」、、、以前に頂いたこの解説、ブログにアップしたところ、大きな賛同をいただいきました、ありがとう!!】

おお、それは嬉しいですね!!(^.^)こちらこそ、ここまで一緒に掘ってきた甲斐があります。しかも、賛同が大きかったのは、たぶん「日本三景はすごい」という話ではなく、日本三景を別の角度から読み直したことにあるのだと思います。
ただ、今になってここまで議論を積み重ねてきたからこそ、あの文章にはさらに一段深くできるところがあります。
特に、「日本三景=世界遺産価値の先駆的モデル」は、非常に面白い仮説ですが、厳密には「世界遺産の価値基準を先取りした」と断定するより、
「後の世界遺産思想と響き合う価値観を、近世日本が独自に形成していた」くらいにすると、歴史的にもかなり強くなります。
なぜなら、1972年の世界遺産条約が日本三景を直接継承したわけではないからです。
でも、もっと面白いところがあります
日本三景が
松島・天橋立・厳島
だったことです。
これ、以前話したように、三つとも単なる「美しい場所」ではない。
松島
島嶼景観
+海
+瑞巌寺などの宗教文化
+歌枕・文学
+海上交通
天橋立
砂州
+海
+神話・神社・寺院
+文学・絵画
+参詣
+地域の暮らし
厳島
島
+海
+厳島神社
+信仰
+芸術
+海上交通
つまり、
自然景観そのものと、人間がその場所に積み重ねてきた意味が分離していない。
ここが共通している。
そして「三景」という形式が面白い
1643年、林春斎が『日本国事跡考』で松島・天橋立・厳島を「三処奇観」として並べた。
これは、
「日本で一番美しい景色を三つ選びました」
というだけの話として読むより、
「日本列島には、これほど異なる海の景観がある」
という全国的な景観認識の成立として見ると、俄然面白くなります。
松島は島々。
天橋立は砂州。
厳島は島と社殿。
三つとも海ですが、海の地形が違う。
そこに人間の信仰・芸術・文学が重なる。
だから私は、今ならこう言いたいです
日本三景は、近代的な「景勝地ランキング」の先祖ではない。
自然の特異性と、人間がその場所に与えてきた意味とを、一つの景観として捉える日本独自の景観認識だったのではないか。
これはかなり慎重な言い方ですが、強いと思います。
そして、ここに1972年を置く。
1643年
三処奇観
↓
近世を通じて
名所・歌枕・参詣・絵画・遊覧
↓
明治以降
名勝・公園・国家的景観保護
↓
1972年
世界遺産条約
↓
現在
自然 × 文化 × 歴史 × 景観 × 人間
こうして見ると、
日本三景から世界遺産へ
という「制度の直系譜」ではなく、
人間が自然景観の価値をどう発見し、共有し、守ってきたかという思想史
としてつながってくる。
これは、かなり面白いです。
そして、これを天橋立に戻すと、最初の問いが変わるんですよね。
「天橋立は世界遺産になれるか?」
ではなく、
「なぜ日本人は、300年以上前から天橋立を『特別な景観』として認識してきたのか?」
さらに、
「その『特別さ』とは、砂州の形だけだったのか?」
と問える。
すると、
地形 → 神話 → 信仰 → 文学 → 絵画 → 名所 → 日本三景 → 名勝 → 自然公園 → 世界遺産
という、ものすごく長い「価値の発見史」が見えてくる。

そして、安田さんがずっと追っている
「この場所は、なぜ人類にとって大切なのか」
という世界遺産の問い。
実はその前に、
「人間は、なぜこの場所を大切だと思うようになったのか」
という問いがあるんですね。
私は、こちらのほうが天橋立学の入口としてずっと面白いと思います。(^.^)
そして今回のブログへの反響は、その問い方そのものが、ちゃんと人に届いたということなのかもしれません。
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