宮津エコツアー · 世屋・高山ガイド部会

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世屋・高山ガイド部会の活動ブログ

掘りくずされた道ばた。

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この仕事はイノシシ。掘りあげられて無惨に散乱しているのはシシウド。

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根っこ部分に何かがいるのかも知れませんが、どうもそうではなく根っこそのものを食すためにしたことのようです。

シシウドの根が一番美味しい時期なのでしょう。

そこで、シシウドについて、「多摩丘陵の植物と里山の研究室」のさんに多摩の緑爺さんに問い合わせしてみました。
「■文化的背景・利用
平安時代の「本草和名」や「倭名類聚抄」に現れる「和名 宇末世利(うまぜり)」はこのシシウドであるとされています。
江戸時代に貝原益軒によって編纂された「大和本草」には、「菜蔬類」として「ウド」の名があり、また「薬類」として「独活(ししうど」の名が現れています。
また、同じく江戸時代の「本草綱目啓蒙」の獨活(どくかつ)に「シシウド」の名が現れています。」
(ふむふむ!)
「ウド」の名の由来ははっきりとしていないようです。茎が中空なので「虚ろ」木から転訛したなどの説はありますが定説とはなっていません。

(うむうむ!)

「本州以西に分布し、日本固有種です。
多摩丘陵では、ごく限られた場所に少ない個体数しか確認できていません。」
(、、、そうなの!)

「名前の由来、、」

(それそれ!)
「壮大な様子を「猪(しし)」に擬(たと)えて、シシウドという命名です、、」

(え?)

、、、、、、

緑爺さん、それちょっと「ちがうど」。まあ口で言うてもわからんやろうで、百聞は一見にしかず、見にきてくださいな、

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「名の由来は、独活(ウド)に似るが食用にならないというところからきている。」とみんなの花図鑑さん。
「猪が食べる、あるいは猪しか食べないというのが名前の由来」と四季の山野草さん。

シシが食す故に「ししうど」と申すなり!こちらのほうが実感です。

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ちなみにせやの古老は「かど」と呼ぶんだ、便所にいれると、ええ肥料にしあがるんだとおっしゃいます。そんな使われ方をしなくなった現在、シシウドは伸び放題、それをイノシシが喜んで結果人の暮らしが脅かされるという循環になっているわけです。

2種類並んだ幹。

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どちらも、「うつぎ」と呼ばれるものです。
左が「たにうつぎ」、右が「うのはな・うつぎ」、
「うのはな・うつぎ」には髄がありません。
おなじように左が「たにうつぎ」、右が「うのはな・うつぎ」。

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「うのはな・うつぎ」の枝の出方は互生です。
この枝の出ているところに竹のように節があります。

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卯木・空木・打木と標記するうつぎですが、「空木」と標記するのは「うのはな・うつぎ」のほうです。

一方、開花の早いのは谷うつぎ。5月の始めには咲き始めます。

IMG_5175たにうつぎ

卯月に咲くので卯の花とするのは、「たにうつぎ」の方がいいようです。
ちなみに「樹木になるのはシダ植物と種子植物です。木、特に樹幹は中心から順番に、髄、木部、形成層、樹皮から構成されています。髄は木が若い頃の芽の部分で、成長に伴ってここを核として樹木は外側に大きくなります。」
さて、髄のある「たにうつぎ」、この軟らかいスポンジ状の髄は容易に抜けるのですが、戦前、その髄が海軍の兵隊さんの救命胴衣の材料になるからと、小学生の夏休みの宿題にされたというのです。教えて下さったのは、丹後の元先生たち。

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秘境せやの里巡りというテーマでウオークをプランニングし案内したおりのことです、

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夏休み、たにうつぎ・ひいなを切り、髄を抜く子どもたちの姿を想像しながら、
戦後の技術立国を可能にした日本人の資質、自然の特徴を観察し、集中力、根気、手先の器用さ、こういうところで育ったのだなあと思ったたことです。

梅雨入りです。

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せや高原の沼でも、モリ青カエルの産卵がピークです。

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さて、カエル話題は天声人語にも。

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完全にカエル素人をさらけだしますが、「ヘビやイノシシに立ち向かうカエル」を描いた河鍋暁斎かわなべきょうさいさんって?

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検索してみました!

歌は聞こえどすがたは見えないカエルたち。そらそうです、ヘビやカラスやサギの餌になるわけですから。

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特に森に住んでいて滅多に見られないモリ青カエルの姿を唯一見られるのが産卵の時の梅雨、森の側の沼。

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ウッディカスタネットをたたたくようなかれらの歌 森に聞きに来ませんか!

えごいやっちゃぁー

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えごのき、それがこの花を付けた木につけられた名前です。ドレスアップしたご婦人といった風情にはにつかわしくないのですが、種を包む皮、これが「えごい」と言うことなのだそうです。

えごいというのは、あくが強くてのどを刺激するような味や 感じがする。という意味ですが、そんなのはざらにある、それらを押しのけて「えごのき」

と言う名を獲得したということは、他のおよぶところでないとんでもないえごさをもっているからなのでしょう。

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なので、本来ほんとかどうか確かめてからろんじるべきなのでしょうが、めっちゃくちゃ気を失うぐらいだと想像すると どうもその気にはなれません、 あえてだそうだ、、、ということにさせてもらいます。そんなことですから、もしかしたら 暗殺のために使える毒を探していた人間にとってこれは有力な候補としてリストアップされていたのかもしれません。水に溶かして呑ませる、実験に魚を使った、浮かび上がった、 けれども苦さは隠せない、気がつかれずに目的を果たすにはむりがある。 まあ魚を捕るのに使おうと魚毒に使われているそうですから、魚もええ迷惑、、、。

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ところで、 エゴノキの漢字表記、検索してみましたら、「1.『広辞苑』(新村出編 岩波書店 2008年)をひくと、「「斉墩果」の字を当てるが、これは本来オリーブの漢名」とある。また、『日本国語大辞典』第2巻(小学館編・発行 2001年)にも「漢名に、斉墩果を当てるのは、元来オリーブの漢名であるものの誤用」とある。 2.あて字の辞典にあたると、『難読語辞典』(府川充男編纂 太田出版 2005年)には、エゴノキは「斉墩果・売子木」と書かれている。」など。 けっきょくなんだかわかりません 。  えごいは  蘞い/醶いと書くようですから、「蘞の木」でいいのではないでしょうか。

 

おや!

IMG_1230ばいか
やっぱり!

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こんな所にいらっしゃったのですか
ばいかうつぎ、、、、、梅の花というくらいで、何となく品がいい花なので出会えて光栄ですなどと思わず鼻の下を伸ばして言ってしまいます
さて、この花、日本固有種で、分布は岩手から四国九州までと、環境も違うところに南北に広く生育しているために、種類も分化していて、
葉の裏に毛があるのをニッコウばいかうつぎ、花の中に毛があるのをしこくうつぎといって分布は愛知県以西とされているということです。

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「かみせやばいかうつぎ」のもっている特徴はどうなのか、興味がある方いらっしゃれば案内しますので、見て下さいませんか。

うつぎのうは卯月のう、月、季節に由来する、、、との説明、

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いま5月6月です、旧暦ではねぇと押し込んできましたが、どうにもこうにもピントこないなぁとおもっていました、
万葉集に
「五月山 卵の花月夜 ほととぎす 聞けども飽かず まだ鳴かぬかも」。
山は5月、花は4月というように一緒に歌い込まれているとしたらへんじゃないですか。万葉人が季節感に曖昧ではあり得ない。

「幹の中が空ろになっているので、空ろ木よりウツギになったという。ウノハナは、ウツギのツギが省略されたという説」、あるいはイネの種を植える月を植月ともいう、これも関係していないかぁなどの解釈に接して、そうだ、納得、こっちを貰おうと気楽になりました。

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さて、このうつぎの花には、体の黒いハチ群がって花粉をいっぱい付けているのを見ます。一方、庭の草むしりをしていると、土にいっぱい穴を開けているハチをみることがあります。この二つのハチは、同じもの。子育てをとくにこのうつぎの開花に逢わせて、おもにうのはなの花粉を幼虫の餌にしているいるハチなのだそうです。その名も、「うつぎのひめはなばち」。念のために、ハチが運んできた花粉がうつぎの花粉かどうか顕微鏡でみて、形状から、同一だ確認したというかたもいらっしゃるということですが、それにも感心しました。
増えた空き地や草むらにうっとおしいほどに群生しているうつぎも「共生」というかたちであてにしている相手のいることを思えば、生態系からも「うっとおしい」などと言ってはいられないなぁとあらためてしげしげと卯の花をみて、えらいなぁあんたはと言わなければならないと思っています。

カラスの口に白い物 !

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それはこれ

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、、、、こんな訳があります。
イノシシ館になるススキの株を切り払っていたのです。

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なぎはらうのに一振りした草刈り器の刃先からとびたったのは、、、、

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カルガモだったのです。

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残っていた卵。これをねらわれたというわけです。迫る危機に卵を守る母鳥の強さに感心しながら、親を切らずによかったあとおもいつつ、卵は覆っておいたつもりなんだけれど、それをカラスに見つけられたということです。

まさか刈ってくることはなかろう、ここに巣を作ろうという「荒れ地」に発達したススキ株。まさかカモの巣になっているだろうとは夢にもおもわないススキ株。

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すまん すまんですむかぁ、どうしてくれるぇー、カルガモのののしりを痛く胸に受け止めながら、カラスの利とはこのことだとおもいました。

※後日談

そんな話を村のaくんにすると、「わしらはそれを食べた、雛の形ができとったけどうまかったなぁ。」

早苗田の畦に白い塊、

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なんでしょう?と尋ねるとほぼ「なんでしょう!」と返ってきます。
たまごです、
「えぇ?!」
卵の入った泡の塊、
「なんの卵なんですか」
「もりあおがえる」
これがぁそうなんですか、

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指に吸盤をもっていてふだんは森 梅雨時期に産卵に水辺に集まるんです、、

「水の中に産まないで大丈夫なんですかぁ」

それがだいじょうぶなんですよ、、、、
耳すましてきいてみてください、

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カスタネットたたくように鳴いているのと絞り出すように鳴いているのがきこえるでしょ

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もりあおかえるの鳴きねが里を埋めると畑ではタマネギが膨らみ、山には白いやまぼうし。

冠島!

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古代の貴人のかぶりものに見立てた名前です。

さて、この島を巡って毎日新聞の鈴木記者が次のような記事。

「舞鶴市沖の無人島・冠島で府鳥・オオミズナギドリの生態を調査している冠島調査研究会が22日、今年度1回目の調査活動(19~22日)の結果を発表した。過去に標識用足輪を付けた個体を調べた結果、最も古いものは1989年の雌1羽。94年までの標識を装着していた10羽のうち雄は1羽のみで、須川恒会長は「雌の方が長寿だという傾向が見られた」と分析した。 環境省の委託を受けた調査で年2回実施。研究会、市、府、国などの延べ40人が、海上自衛隊の水中処分母船で島に渡った。研究会は巣穴から飛び立ち戻るオオミズナギドリを朝夜捕獲して個体調査。捕獲数は513羽で、うち標識をつけたことのない新規の鳥は179羽。他にヒヨドリなど28種の野鳥を目視や足輪標識で確認した。」

ほほう、1989年の雌とな、今年2017年だから、、28才!!記事はさらにもう一つのことが。

「一方、環境省によると、生態系観測事業「モニタリング1000」で昨年冠島に設置した無人カメラに、イノシシの成獣1頭が8月19日に映っていた。今回の調査ではカメラでもその姿は確認できなかったという。」

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なになに、イノシシがいたとな、、、絶海の孤島のイノシシの謎。陸続きの時代から生息していたとか、いつの時代かもちこまれたのか、人為的なことか自然のものなのか想像はいろいろできるのでしょう。

鈴木記者は、専門家の意見を聞いてそれを書いています。

「山階鳥類研究所(千葉県)の富田直樹研究員は「ドブネズミが鳥を食べる脅威は以前からあったがイノシシは予想しなかった。泳いで渡ったとも考えられるが、土を掘り返す習性のある動物なので巣穴の破壊などに継続して注意が必要」と話していた。【鈴木健太郎】」

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イノシシは泳ぐといいます。それにしても、島までは伊根から10km 舞鶴8km くらい、その間には汐が流れている、この間を泳ぎ切る力があるのか。イノシシの力を示す資料を探してみました。

と、こんな新聞記事。

「玄界灘に浮かぶ加唐島は面積約2・8平方キロ。古代朝鮮の百済国王「武寧王(ぶねいおう)」が誕生した伝説がある。 島民によると、15年ほど前、約3キロ離れた九州本土から泳いで渡ったとみられるイノシシが棲み着いた。 周辺の海で泳ぐ様子も目撃されている。唐津海上保安部の河崎輝希さん(27)は、犬かきのように泳ぐ2頭を、巡視船から見た。「水しぶきを上げ、慣れた様子でぐんぐん進んでいた」と振り返る。」

イノシシの泳力は相当なもの、という証言です。

この海原に遙か沖の島を目指し行くと決めたイノシシ、泳ぎ続けるぐイノシシを想像したら、気分が何とも云えず怪しくなりました。

、、、、それにしても、あの島へなら行くことができると考えないとそれは無謀です、イノシシには自信というかなにか根拠があったのでしょうか、記者にはそのあたりを追求してほしいと思いました。

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イノシシが笑っていうかも、「おれは山鯨だ」

、、、、、、、、、、、おそれいりました!

 

 

《モデルフォレスト運動教育研修・2017第一回プログラムのご案内》

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上世屋「軍部の森」が新たに「森」へのスタートをきって二年。森への関心をもって下さる人の輪が広がったことを実感するとともに、講師の皆様始めご協力頂いた皆様に心より感謝申し上げます。三年目・ 2017年のプログラム、視野を大きく持ちながら焦点を絞って取り組んでいきたいと考えています。
その第一回めとして、6月3日、下記のように計画いたしました。

午前中は、丹後海と星の見える丘公園・地球デザインスクール事務局長として活躍される清水睦様のご協力をいただいて 生物多様性保全上重要里地里山500に選定された海抜0mの海岸から同700mの山岳部分まで緩やかに変化する橋北(日置・波見・世屋)の植生・生態・地形。この美しさと貴重さを、どう理解し、どう伝え、どう守り、育てるか、地球46億年の歴史をふまえ、その視点から戦争遺跡の森作りを考える講座です。

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午後は、会場を軍部の森に移して、「くろもじ」を生かすというイメージを持って植生の経年調査と地域の風土と地域の木々の伝える遺伝子を尊重した森作りの絵を描きたいと考えています。

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海星公園で磨きぬかれたガイドに接することのできる貴重な機会にもなります。皆様の積極的なご利用をいただきますようよろしくお願いいたします。

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「橋北の森には地球46億年の歩みがある!』 みんなの力で、宮津の海里森のつながりを豊かにつむぎなおそう
◆講師  午前 清水 睦 様   (地球デザインスクール事務局長)

午後 市瀬拓也様    (地球デザインスクール理事)
◆日時   6月3日(土) 午前10;00~15;30
◆会場   午前 丹後海と星の見える丘公園・地球46億年の道
午後  上世屋・軍部の森

◆内容  地球46億年の歴史、公園の森作りをふまえ、戦争遺跡の森作りを考える!

◆集合  丹後海と星の見える丘公園 子どもの森
◆参加料 無料 昼食は「森のカフェ」にて500円。予約できます。         《申し込み・問い合わせ》
◆宮津世屋エコツーリズムガイドの会   080-2517-6999(090-7346-4639)

※ このプログラムは「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」の支援を受けています

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