宮津エコツアー · 世屋・高山ガイド部会

世屋・高山ガイド部会

世屋・高山ガイド部会の活動ブログ

2012,5,11
野に生えているものをじっとみていると、語りかけてきます。

わしはわし
しぶとく したたかに いきていく
大風吹いたって 大雪降ったって 山が崩れたって
わしはわし
つちにいきてるもん みんなわしの連れ
あいつの次はわし、わしの後はこの子
命をつないで 潔く 死んでいく

あんたはあんた しぶとく確かにいきていけ

わしはわし したたかにくそまじめにいきていく

 

愚直に野に生えているものは、生きる本質をあっけらかんと言い放ちます。その言葉を聞くために、今日も里を歩きます。

【初夏の里の彩り】

ゆきぐにみつばつつじ

ミツバツツジは関東から近畿の太平洋側の樹木だが、その日本海要素のミツバツツジ。

「葉縁は全縁。 表面は無毛、裏面に毛があり、主脈基部に毛が密生する」とか、ルーペがいりますなあ!

シャガ

古くに日本に入ってきた帰化植物。日本に存在する全てのシャガは同一の遺伝子を持つ。

三倍体のため種子が発生しないなどは、彼岸花の事情とよく似ている。

レンゲツツジ

世屋では、別名したまがり。全木にジテルペングラヤノトキシン(grayanotoxin)[1]、ロドジャポニン(rhodjaponine)などの痙攣を含む。呼吸停止を引き起こすこともあるほどつよい。牛や馬も食べ残すので、レンゲツツジの群生地になっている牧場も多い。

きらんそう

別名、地獄の釜の蓋。解熱、咳、痰、下痢、虫さされや、腫れものなどに薬効があり、病気を治して地獄の釜に落ちないように蓋をする力があると考えられたことから。

2012,5,10
薄紅色を、いつから桜色と言うようになったのだろう。私たちは、表現の多様性をもっと取り戻さなければならないのではないだろうか。タニウツギ、君を見ていてそう思う。君の色は、タニウツギ色!

さて、タニウツギでおもしろいのは、たくさんの方言を持つこと。これが咲いたのでマメをまけ、と豆まき花 これが咲いたので鰯が獲れるぞといわし花。苗も植え頃ぼちぼち田植えだと、たうえぼちぼち。よく目立つので、人は暦の役を任しました。
また、このタニウツギ。リョウブと並んで、人の厳しい暮らしを支えてくれました。不作、凶作に常に備えていなければならなかった頃のことです。そう、救荒植物。どちらも、若葉をよく干して臼で搗き、米粒程とし、これを水に浸して蒸し、またよく乾燥させます。いざ、というときには、逆にそれを煮て水気をしぼれば再び食べられるようになりました。二重俵に入れて火棚や屋根裏の乾燥するところに上げておけば、何年たっても味は変わらなかったといいます。

タニウツギは、 スイカズラ科タニウツギ属。日本海型気候に適応した日本特産種。北海道の西側、本州の東北地方、北陸地方、山陰地方の山地の谷沿いや斜面に多く見られます。ローカルな花ですから、薄紅色は桜に譲ったとしても、その美しさは揺らぎません。「田んぼぼちぼち、摘んでとっておくこと、忘れるんじゃないよ」親が子に子が孫に伝え続けた油断なく備える勤勉さがあればこそ、ひとは不作凶作をしのぎ生き抜くことができたことを思えば、タニウツギの花の美しさの味わいは、また深くなります。
タニウツギ色に染められた世屋の谷に、今年もカジカの鳴き音が響きます。

まれに、白花品種のシロバナウツギがあります。

 

2012,5,9

休憩所から里を眺めていました。下から府道を走ってきた一台の車が、休憩所のしたでスピードを緩め、左にハンドルを切り、坂道を上ってくるではありませんか。降りてきたご夫婦とおぼしき二人連れ、消防ホース干し場で絵を描いておられた方がおられましたが、その二人です。アングルを探しに上がってこられたと思い、声をかけようとしたところ、そちらから言われました。
「トイレ貸してください!」

トイレの整備されない観光開発はありません。しかし、駒倉入山口のバイオトイレ、レクレーションセンターの二カ所しかありませんでした。日本の里100選に選定され、エコツーの有望地とされるなか、期待の施設として誕生したのが、昨年7月1日より供用開始された世屋高原休憩所です。
いよいよ本領発揮です。

ちなみに、このご一行、川西からこられたとのこと。写真クラブの人たちのことはしっている。初めて来たがいい絵が描けるところだ。今夜は伊根に宿をとっている、あしたまたここに描きに来るとのこと。このかたたちも、伊根と世屋の組み合わせ、大阪では、一体のコースとして定着しているようです。
(ええ、抜かりありませんよ、パンフレットと名刺、お渡しして、HPもアピールして、営業にこれ努めさせていただきましたよ。)

2012,5,7
休憩所の入り口を開けると、ツバメが入ってきます。初夏です。休憩所の中を鳴き交わしながら飛び回っています。残念ながら、ツバメ語はわかりません。


ところで、彼らの頭にはすり込まれています、「巣作りは人がいる家。」しかし、上世屋は、超限界集落、巣作りのできる農家には先客がいます。ツバメにとっては、超住宅難。そんな事情があります。そんなことを思うと、彼らの話していることは、想像できます。「人間とツバメの間に結んだ協定、人は、一方的に裏切っている!」辛くなりました。
里山とツバメは一体のはず。里山プロジェクトは、ツバメプロジェクト!ツバメが住めるようになったら、世屋で入り乱れるように行われている様々なプロジェクトが完了するのだろうなぁ。コウノトリやトキの復元のように。
それは、さておき、ハギやなでしこ、フジバカマも芽を吹いています、

この子たちは、しっかりと復元し始めています。彼らは、言ってくれます「歩く人が多くなればそこが道になるって言った人がいるだろう!ツバメプロジェクトの完了日へ向けて、、、歩けばいいんじゃない、あなたも!」

 

2012/05/09

平均気温が10度がブナの開葉の目安です。今年のブナの峰走りは4月22日。残雪の残る尾根に緑の碁石をおいたように山の春を告げていました。続いて、24日には世屋の大ブナも開葉。大地と空を結ぶ命の循環の始まりです。春の空に明るい緑がまばゆいほどでした。


このブナは、生育途中に切られることなくまっすぐ伸びたブナらしい美しい樹形を保っています。
Sさんは、ここへ寄るたびにいつもこのブナを抱えます。始めは。胸高周囲をはかっておられるのだと思っていました。樹齢の目安がつけられるからです。その方法によるとこのブナは推定200年。しかし、一回やればわかるはず。それなのに、いつもべちゃー。その繰り返し。


私もやってみました。ヒンヤリしたそれでいてまろやかなはだざわり。落ち着いた感じがしました。元気がたまっていく感じもしました。
ふと思いました。「これなんだあー!充電」。Sさんは体全体でブナのエネルギーを吸い取る充電をしておられたのです。この木は命の充電お立ち寄りスポットだったのです>

同じことをする人がもう一人。ブナの山の旅を続ける坪田和人さん。その著にこう綴っています。「大木があった。幹回りを測ってみると約3.5mだ。樹肌には黒々としたコケが様々な模様を描いている。こんな大木に出会うとつい抱きつきたくなる。大木に触れていると、神聖な命が私の中にかに入ってくるようで、厳粛な気持ちになってくる。」。
あなたも、世屋の大ブナを抱いてみませんか。この木は、上世屋の里を巻いて、成相林道と木子道の別れの手前50m、谷側にあります。

2012,5,7
「母さんが好きだった山ざくらの花は、今年も里より少し遅れてきれいに咲きました。」さだまさしさんの「山ざくらの歌」の一節です。普通の散文が、彼のメロディに乗ると美しい詩に変わるのです。歌は、こう続きます。「新しいランドセル、小川に写ります。ネコヤナギの芽がふくらんで、春は静かに咲きました。タラの芽を摘みながら、あなたに手を引かれ、歩いた山の深みどりは今も変わらない 草笛は懐かしいふるさとのうた」。

さて、「山桜の花は、里の桜より、少し遅れて咲く」。これは本当です。上世屋の里の合力の家の桜は山桜です。この桜は、ソメイヨシノの千代子桜や藤吉桜が4月19日に開花したのにたいして、27日に満開になりました。確かに、「少し遅れて咲きました」。

この歌は、日本の里のイメージソングかもしれません。ついでに紹介します。二番は夏景色です。「夏休み 水遊び ウシガエルの声は 泥まみれで帰った時 母さんの困った顔 盆踊り 新しい絣の浴衣着て 転んだ膝小僧にあなたの赤チンキのにおいがした 麦わら帽 カブトムシ 夕立 拾った子犬 しかられて鳴きながら見つめた赤い夕焼け 遠花火消ゆるあたりは母の里」。三番は秋から冬。「稲刈り 栗 柿にカラスウリ やきいも りんどう そして紅葉 あの子の吐く息 白い霜 やがて雪 あたたかな あたたかなあなたのような 膝のぬくもりが私にも 持てるでしょうか ささやかな幸せ くるでしょうか」。
エンディングは、また春。「母さんが好きだった山ざくらの花は、今年も里より少し遅れてきれいに咲きました。」

合力の家の山桜は、「好美桜」と言います。

2012,5,8
河岸段丘の村、下世屋には、龍渓と呼ばれる美しい谷があります。少しずつ隆起する大地を高山や岳山、鼓ケ岳に発する山の水が浅谷、茗荷谷、世屋谷を通ってここに集中し、少しずつ掘り下げてV字の谷を形成しました。かっては、夏は村の子供たちの水遊び場。尺物のアマゴも釣れたと古老は語ります。
また、龍渓という名は、成相寺より龍の彫り物を依頼された左甚五郎が想を得るため、この谷に七日七晩籠もっておったところ、黒雲とともに龍が天に昇ったという言い伝えによってつけられたということです。


この龍渓には、二つの橋が架かっています。一つは、下川橋。谷を渡るアーチの美しい石造り橋です。もう一つは、龍渓橋。深さ四十メートルの谷をわたります。
五月、谷を渡る藤が盛りを迎えています。耳を澄ませば、谷を埋めるカジカカエルの銀の笛の音。


村の寺、松源寺は、水上勉さんの金閣寺炎上を描いた『五番町夕霧楼』のヒロイン・「ゆうこ」の菩提寺に模された山寺、

よく手入れされた道沿いの家の庭木なども見所です。声高にはアピールすることはなくても、おもてなしの心がひっそりと息づく静かな里、下世屋・龍渓を訪れてみませんか。

2012,5,7
マメサクラはとっくに。続いて、里桜を送り、さらに山桜も送り、今年の桜は終わったと思っていたら、岳山麓付近の林道で、まだ咲いている桜に出会いました。

ウム!ブナの葉も濃くなっている。トチも朴もはりぎりも大きな葉を揺らせている。ウグイスはしきりにさえずり、尾根からはボーボーと鳴く声も。

5月の山に咲く桜といえば?成相林道の茗荷谷付近にも。合わせて四本。いずれも木は小ぶり。「カスミザクラは北海道中部から九州に分布する落葉高木(四国・九州では少ない)。和名は「霞桜」。花はソメイヨシノより1週間から2週間ほど遅く、新緑の初め頃に花が咲き、早春の山に点々と咲く姿は霞桜の名にふさわしい。」状況は、限りなく「カスミサクラ」。


まもなく田植えを迎える世屋の里では、この花が田植え桜のようです。

 

アジアのモンスーン気候が育む命
~世屋の田圃のカエルたち~
2012,5,6
初夏の太陽がまぶしい真っ昼間から恋の争奪戦を繰り広げるトノサマガエルの開けっぴろげさ、さすがに殿様。さて、世屋の田圃は、とのさまがえる以外にも、ヤマアカガエルやもりあおがえるやしゅれーげるあおがえる、あまがえるなどが利用しています。そして、それぞれ、異なる産卵時期や産卵方法をもっています。
一番に産卵するのが、ヤマアカガエル。雪解けを促す湿った南風の吹く日に田圃に現れて産卵します。争奪戦の活発さに比べて、メスを招く鳴き声はか細く、優しい草笛のよう。卵塊は始め、キャビアのような黒い粒の入ったゼリー状のものがやがてゆるんで広がっていきます。5月ごろにいるオタマジャクシは、ヤマアカガエルのおたまです。
5月の連休ころから、モリアオカエルやシュレーゲルアオカエルが産卵します。このカエルたちは、とのさまやヤマアカたちのように、直接田圃の水の中に産卵はしません。土手に掘った穴や、水面に張り出した枝先に泡のような卵塊を生み付けます。
恋の争奪戦を見ようと思えば、5月の中旬、晴から雨に変わる日の夕方から、明け方をねらうことです。ほぼ当たります。気圧や湿度に反応するのでしょう。とくに、もりあおがえるの多い林に囲まれた山の池では、林の歌やサテライトオス、木の枝を飛び回るオスたちの様子が観察できます。(※筆者おすすめスポット・京丹後市網野町仲禅寺あず谷の池)

彼らが産卵すれば、まもなく梅雨入り。泡の塊の外は乾いてシュークリームのようになっていますが、殻の中はとろとろ、卵はオタマジャクシにかえります。兄弟たちは、500匹程度。その皮を解かすのが梅雨の雨。一気に水へと送り出してくれます。アジアのモンスーン気候が育む命です。今年は、もう産卵しています。梅雨が早いのかもしれません。

 

ちなみに、せやにはその他、渓流に産卵するカジカカエル 山の水溜まりに産卵するあずまヒキガエル(この争奪戦にIさん、駒倉峠付近の沼で4月中旬に遭遇し撮影したとのこと)、水のしみだす崖などに産卵するタゴカエルたちが棲息しています。

。、

トノサマガエル、素手で捕まえたらニュースだよ!

2012,5,6

宮津小の三年生、今回、大津の四年生の男の子の里山ガイドで、彼らが反応したのは生き物、一番はカエルやオタマジャクシ。

合唱団ネタもよかったのですが、中には、カエル博士がいるかも。リサーチをしっかりしておく必要を感じました。あらためて整理しておきます。とりあえず、そのトノサマガエルバージョン。

① 人とカエルの関係
平野部から低山にかけての池、水田付近に生息するカエルは、稲や野菜を荒らすこともなく、肉食で稲を食べる昆虫などを食べる有益な生き物であること。
②大きさ
トノサマガエルのオスの体長は55~80ミリ。
メスの方が一回り大きく体長は60~80ミリ。
③雄雌の見分け
体色で見分ける。オスの基本色は黄緑色で背中の中央に一本の緑色か黄色の縦じまを持ち、繁殖期には黄金色になることもある。
メスの基本色は白色・灰暗色で、背中の縦じまは白色で太い。

 

④学名の由来
雌雄とも、背中に黒斑点が分布し、学名のRana nigromaculataは、「黒い斑点を持つカエル」
⑤産卵
4月~6月頃。この時期になるとオスは水を張った水田やその周辺の池などの浅い水場などに集まり、夜間、両頬にある鳴嚢を風船のように膨らませ、水面に浮きながら「グルルル、グルルル、ゲゲゲー」と水面で大きな声で鳴く。
この鳴き声に、メスが誘われてよってくる。メスが接近すると、オスはメスの背中に抱きついて抱接(ほうせつというのは、体外受精)する。メスは抱接したまま、なわばりから移動し、やがて産卵・放精をおこなう。
また、オスの鳴き声は、他のオスに対するなわばり宣言の意味もある。
縄張りの広さは、1・6平方メートルほどという観察がある。鳴いているオスは自分の周囲の直径1-2mほどに他のオスが侵入すると激しく鳴き、さらに接近した場合には、跳びかかって追い払う。ただしなわばりは繁殖期だけの一時的なもの。

⑥生育
直径20センチにも達する卵塊には、2千から4千もの卵を内包している。(3000人の兄弟がいる。すごいね。おかあさん、名前を考えるのたいへんだ。みんな呼んだら、1日かかる。多産生き残り戦略ネタギャグ ※ 「オタマジャクシの101ちゃん」みたいという子がいたらブラボーと褒めてあげる。なければ一読をすすめる!)孵化したオタマジャクシは水中のやわらかい植物、落ち葉、珪藻、動物の死体などを食べ、体長7センチ位まで成長し、その年の秋までには変態して上陸する。変態してからはおもに生きている昆虫類、クモ等を食べるが、貪欲で、口に入る大きさであれば、小型のカエル、ヘビなども捕食する。野外での寿命は3-4年。

⑦生育に必要な環境
このような生活環を完了するためには、排水不良で中干しができない、あるいはオタマジャクシの成長途上に水田の水を落としても、水田周囲の溝に避難できるような水田が必要です。環境の目安になる指標生物として京都府は、要注目種に指定しています。
⑧ダメ押し
動作は非常に敏捷だから、ちょっとやソットでは捕まえられないよ!、道具なしで捕まえたら新聞に載るぐらいのニュースだよ!

さて、楓かえでは新芽をカエルの指先に見立てたことから、。では、どうしてカエルはかえるっていうの?ごもっともなご質問、どうお答えしましょうか?

 

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